石崎小児科マーク

離乳の進め方

 その1)発熱


 風邪をひいて熱が出るのは、早く治るための体の防御反応です。風邪は風邪の症状をおこすビールスの感染によって引き起こされます。この体に入ったビールスを殺さなければ治ることが出来ません。

ビールスを殺すためには白血球が働き、インターフェロンや抗体が作られます。これは一種の化学反応です。この化学反応を促進させるために体温を上げているのだと考えて下さい。発熱は風邪を早く治すために必要なことなのです。

発熱は決して怖いものではありません。熱のために『頭に上がる』ことを心配される方もおられますが、熱の高さと『頭に上がる』こととはあまり関係がなく、まったく別の要因によることの方がずっと多いのです。

 しかしながら、熱が高ければ高いほど良いと言うわけではありません。必要以上に体温が上がりますと、体温を維持するために体力を消耗します。体力が低下しますと病気にたいする抵抗力が落ちますので、回復も遅れます。

ですから38度5分以上になりましたら解熱剤(頓服や座薬)を使って熱を下げてください。熱は1度下がれば良いのです。平熱にまで下げる必要はありません。解熱剤で熱が下がっても、熱の出る原因があるあいだは薬の効果が切れてくればまた熱が上がって来ます。

体温の上下の幅が大きいほど体力を消耗します。そういった意味でも熱をあまり下げすぎない方が良いのです。解熱剤は1度使ったら6時間以上あいだを置き24時間のあいだに3回以内にして下さい。

座薬を使うときは、座薬のさきに水をつけて差して下さい。油や油性の軟膏をつけてはいけません。座薬の表面に油性のものを塗りますと、浣腸をかけたような結果になり、薬が吸収される前に便と一緒に出てしまうことがあります。

 解熱剤を使うときにはタイミングがあります。タイミングが悪いと殆ど熱が下がらないことがあります。熱の上がり始めに寒気がしてふるえが来ることがあります。熱が上がってしまえば暑くなりますが、寒気がしているときに解熱剤を使っても殆ど効果がないことがあります。

ですから解熱剤を使うときは、お子さんの手を触ってみて、手が冷たい時はすこし待って手が暖かくなってから使いましょう。あわてて使って熱が下がらなくても以後6時間は使えないのですから。

 お子さんが発熱のため暑がりましたら、涼しくしてあげて下さい。最近はかなり少なくなりましたが、熱が出たらたくさん着せて汗をかかせることと思っている人がおります。これは昔の人が熱が下がるときに汗をかくのを見て、汗をかかせさえすれば熱は下がると思い込んだためです。

熱が下がるときは、薄着にしていても汗をかきます。汗が体の表面から蒸発することで熱が下がるわけで、厚着にしますと汗が蒸発出来ませんし、いま出ている熱をため込むことになりますので、38度台ですむ熱が39度台から40度まで上がってしまう結果になります。熱が出て弱っているお子さんに我慢会をさせて、もっと熱を上げて体力を落とす結果になります。

 水分は欲しがるだけなるべく与えて下さい。水、お茶、スポーツドリンク(乳幼児にはあかちゃん用のものを)などを与えて下さい。飲みたがらないようでしたら、元気が良ければ与えなくても結構です。もし元気が無ければ点滴が必要かもしれませんので、医師の診察を受けて下さい。

 食事はなるべく消化の良いものを与え、もし食欲が無ければ無理に食べさせようとしないで下さい。

風邪をひきますと病気のために胃腸の消化機能が低下します。無理に食べさせますと消化出来ませんので、吐いたり下痢したりして消化不良をおこしてしまいます。そうするとますます体力が落ちてしまいます。

食べないとお子さんの体力が落ちてしまうのではと心配でしょうが、病気で弱っている子供に体力をつけてやろうと言うのは無理な話で、いま残っている体力を出来るだけ消耗させずに、如何に早く病気を治すかと考えて下さい。

ですから食欲の無いときは食欲が出るまで待ちましょう。朝食べなければ昼まで待ちましょう。昼食べなければ夜まで待ちましょう。水分だけは充分与えて下さい。