石崎小児科マーク

院長先生の部屋 こんな症状見過ごさないで…

イラスト

食中毒

毎年夏になると食中毒の話題が多くなってきます。細菌性の食中毒は毎年全国で3万人前後の患者発生がみられていますが、実際はもっと多いと思われます。函館は今年は冷夏で例年より少ない印象ですが油断はできません。1年間の発生数の75%が5~10月に発生し、特に7~9月に集中するのです。

[感染性腸炎の原因菌]

■サルモネラ :鶏卵、肉類等から感染。潜伏期1~5日。経口で摂取され腸管で増殖し100万個以上で発症する。症状は発熱、腹痛、嘔吐、血便など。乳幼児では菌血症や髄膜炎をおこすこともある。治ってもしばらくの間便に菌が出続けることがあります。菌自体は加熱で容易に死滅。

■腸炎ビブリオ:生食魚介類から感染。潜伏期12~24時間。塩分を好むことから好塩ビブリオとも呼ばれた。症状は腹痛、嘔吐、下痢。この菌も加熱で死滅。

■ブドウ球菌:調理者を介して感染。潜伏期1~5時間。菌の出す毒素で発症。水様便、激しい嘔吐、腹痛。無熱。加熱は無効。

■病原性大腸菌:この中に有名なO157も含まれます。加工食肉製品、水耕野菜などから感染。潜伏期1~数日。大部分は通常の胃腸炎で、症状は水様~粘液便、腹痛ですが、発熱、血便、血尿、意識障害などを伴った場合は、溶血性尿毒症症候群を併発の可能性ありです。菌自体は熱に弱いです。

■カンピロバクター:肉類から感染。潜伏期1~10日。症状は発熱、下痢、嘔吐、粘液便(しばしば血便)

■ボツリヌス:肉類の缶詰、瓶詰め、真空パックから感染。またいずし、ハチミツ、辛子レンコンも有名。潜伏期数時間~3日。強力な神経毒を産生、症状は嘔吐、麻痺など。
 このほかにもウイルス性の胃腸炎も(夏風邪などの)多く見られます。

[感染の予防]

◎食材は新鮮なものを。生野菜は流水できちんと洗って下さい。肉類、鶏卵、冷凍食品は十分に加熱。
◎調理器具は清潔に管理。熱湯消毒など。また手洗いを確実に。
◎調理した料理は時間をおかずに食べること。

[感染したら]

 脱水が最大の問題です。水分摂取量、元気、おしっこの量に気をつけて観察して下さい。基本的には水分、ミネラル(ポカリなど)を少しづつ摂らせて脱水にならないようにして下さい。嘔吐、嘔気などで水分も全くとれず、おしっこが出ない場合は点滴などが必要です。
食事については、嘔吐が続いているときは止めて、水分だけにして下さい。下痢のひどい時、又は血便のみられる時も中止したほうが良いです。下痢の回数が減ってきたら、重湯、スープ、おかゆなどを徐々に始めてください。

下痢止めについては、ウイルス性のものでは使っても良いのですが、細菌性の胃腸炎ではかえって症状の悪化に繋がる事があり勧められません。

おくすりの使用については必ず医師の指示に従ってください。
不安な場合は受診をお勧めします。

食中毒を予防して楽しい夏を過ごしてください。